今日は、少し照れくさい話を書かせてください。
自分の名刺の話です。
私の肩書きには、こう並んでいます。
・一級建築士
・宅地建物取引士
・ファイナンシャルプランナー(AFP)
・公認 不動産コンサルティングマスター
……長いですよね。
正直なところ、お渡しするたびに
「資格自慢をしているみたいで、どうもなあ」
と思っておりました。
そこで先日、ふと思い立ちまして、
GoogleのAIである「Gemini」に聞いてみたのです。
「この4つの資格を合わせて持つと、
お客さんにどんな仕事を提供できますか」
自分のことを、AIに聞く。
我ながら、ずいぶん妙なことをしたものです。
ところが返ってきた答えが、
私が20年以上かけて言葉にできずにいたことを、
あっさり言い当ててしまいました。
長い回答でしたが、要するにこういうことでした。
「窓口ひとつで、全体を見て決められる」
これに尽きます。
どういうことか、ご説明します。
たとえば、こんなご相談があったとします。
「親が施設に入ることになった。
誰も住まなくなる実家を、どうしよう」
このとき、多くの方はどこかに相談に行かれます。
さて、どこへ行くか。
不動産屋さんに聞けば──
「売りましょう。今なら高く売れますよ」
ハウスメーカーに聞けば──
「アパートを建てましょう。相続対策になりますよ」
リフォーム屋さんに聞けば──
「直して貸しましょう。もったいない」
税理士さんに聞けば──
「まず税金の試算をしましょう」
みなさん、嘘は言っていません。
それぞれの専門の立場から、正しいことをおっしゃっています。
ただ、どの答えも
自分の商売の側から見た答えなのです。
業界では、これを「ポジショントーク」と呼びます。
相談する相手を変えると、答えが変わる。
家の一生を左右する判断が、
「たまたま最初に誰へ相談したか」で決まってしまうことが、
実際にあるのです。
実家の話に戻ります。
選択肢は、売るか貸すかの二択ではありません。
・耐震改修と断熱改修をして、賃貸に出す
・解体して、更地でお渡しする
・敷地の一部を売り、残りにご自身の家を建てる
・小規模宅地等の特例を活かした組み替えをする
・そのまま持ち続け、数年後の売却に備える
どれを選ぶかを決めるには、
本来、こういうことを同時に見なければいけません。
・この建物は、あと何年もつのか(建築)
・直すのに、いくらかかるのか(建築)
・土地に、どんな制限がかかっているのか(法規)
・売るなら、いくらで売れるのか(不動産)
・税金は、いくらかかるのか(FP・税制)
・その結果、家計はどうなるのか(FP)
・きょうだいで、どう分けるのか(コンサルティング)
ひとつでも欠けると、判断を誤ります。
たとえば、
「高く売れますよ」と言われて喜んで売ったら、
税金で思った以上に持っていかれた。
あるいは、
「まだ十分住めますよ」と言われて貸し出したら、
数年後に構造の問題が見つかり、
改修費が家賃収入を上回ってしまった。
どちらも、実際にある話です。
私が「公認 不動産コンサルティングマスター」を受験したのは、昨年のことです。
建築士・宅建士・FPの3つがあれば、たいていのことは見えます。
ただ、3つでは足りない部分がありました。
兄弟や親族といった、複数の関係者の利害を調整すること。
どの立場にも寄らず、
中立の立場で事業収支を組み立てること。
この部分を埋めたくて、
いい歳をして、また試験勉強をした次第です。
正直、しんどかったです。
それでも受けてよかったと、いま思っています。
これは私ひとりの話ではありません。
当社のスタッフにも、
・二級建築士 × 宅地建物取引士
・二級建築士 × 宅地建物取引士 × 2級FP技能士
という者がおります。
働きながら資格を取るというのは、なかなかできることではありません。
彼らもまた、時間をかけて知識と知見を磨き続けてくれています。
会社としては、これが一番ありがたいことです。
こうしたことをお伝えする手段のひとつが、YouTubeチャンネルです。
相続(実家じまい)や、
相続対策(自宅じまいと住み替え)について、
コツコツと発信しています。
毎朝7時に公開しているショート動画は、1分弱です。
面白いもので、
7時から9時のあいだに視聴回数が伸びていきます。
おそらく、通勤の途中にご覧いただいているのだと思います。
朝から決して楽しい内容ではない動画を、
わざわざ見てくださっている。
これは、ほんとうにありがたいことです。
これからも、コツコツ続けてまいります。
最後に、これだけはお伝えさせてください。
ご相談をお受けしていて、毎回のように思うことがあります。
相続が起きた後より、起きる前。
それも、数年のゆとりがある段階でご相談いただけると、
選べる道が、はっきりと多くなります。
相続が始まってしまうと、
期限のある手続きに追われ、
「じっくり考える」という時間そのものがなくなります。
時間がないと、人はいちばん簡単な選択肢を選びます。
たいていそれは、いちばん損な選択肢でもあります。
急ぎの用事がなくても構いません。
「まだ何も決まっていないのだけれど」
その段階のご相談が、いちばんお役に立てます。
30分間の無料相談をご用意しておりますので、
どうぞお気軽にお使いください。
それにしても、
自分の仕事をAIに説明してもらう時代が来るとは、
思ってもみませんでした。
ただ、AIがどれだけ上手に説明してくれても、
実際にご実家の床下にもぐり、
屋根に上がり、役所の窓口に並ぶのは、生身の人間です。
そこは当分、譲るつもりはありません。
今日も良い一日を。

コメント
コメントを投稿