「心臓バクバク」
「読後、全身鳥肌」
本屋さんで文庫本コーナーを散策
(時間に余裕がない場合以外は、
文庫本コーナーを少なくとも2巡は
している。新刊本、ランキングを
チェック。そして平台と書架を
眺めていく。
その時にPopがあれば読む。
出版社が印刷配布したであろうPopは、
さらっと見たか見ないか程度だが、
書店員さんが書いたであろうと
思われるPopはきっちりと読む。
盛岡駅のさわや書店フェザン店級の
Popがたまに見つけると
宝物を見つけたような感覚になる。)
していた時に、文庫本の帯に書いて
あつたのが目に止まった。
「天井の葦」(上)(下)太田愛著 角川文庫
上巻の帯には
「伏線!伏線!」
「伏線の嵐!」
物語の終盤で
最初の頃に伏線がちりばめられている。
何らかがどんどん繋がっていくという
のはよくあることなので
そこまで強調するのは
よほど凄いのか
それとも
本を購入する人をそれで釣れると
考えてのことなのか
どれだけ伏線が凄いのかを
確かめてやろうと、
まぁ結果として釣られてしまった。
冒頭に書いたキャッチコピーが
下巻の帯に書かれている。
「瞳孔開きっぱなし!」
になるとは想像し難い。
小説を読んで
「心臓バクバク」
になったことはない。
小説を読んでいる途中に
ぞわぞわして腕が鳥肌に
なったことはあったかと思うが
「読後、全身鳥肌」
という体験もない。
何となく深夜に放送されてる
胡散臭そうな商品の
テレビショッピングのような
キャッチコピーだと思った。
それでも購入したのだから
はずれ覚悟でありつつ
そんな体験ができる
ほどに凄い小説なんだろう
という高い期待値という
自己矛盾を抱えながら読み始めた。
序章が渋谷スクランブル交差点
10月10日土曜日正午で始まる。
それも人物は老人。
渋谷のスクランブル交差点の
ど真ん中に立つ老人。
空を見上げ指を指して倒れる。
なんだこれは?
とインプットされたまま
第1章に入って行き
探偵事務所が出て来た。
序章の理由は、
物語1008ページの終わりに
なって分かる。
その理由を探求していく物語であり、
引っ張りに引っ張る物語である。
それ故に伏線の嵐ということなの
だろうけども、
帯の表現とのギャップを感じて
しまった。
でも、物語は間違いなく面白い。
大晦日と元日を使って読みきった
程だからだ。
(例年なら、元日はお昼から酒を
飲むのに、飲んだら読めないと
この小説を読み続けることを
優先した)
帯のキャッチコピーが
小説を台無しにしているように
思った。(もちろん、私の場合
だけのことだろうけれど)
驚いたのが
参考文献の量と質
そして解説文に著者太田愛氏が
なんと円谷プロのウルトラマン・
シリーズからキャリアが始まって
いるということだ。
渋谷のスクランブル交差点の
ど真ん中で空を指さす
というのもウルトラマンに
重なる部分なのだろう。
新年早々に面白い小説を完読し、
今年は幸先がよい。
普段ならスルーするような
出版社のPopに
今回は引きつけられて読むに至り、
結果はこの小説に出会えて
とてもよかった。
けれども
さわや書店フェザン店のような
書店が仙台にもあったらと
より一層思うようになった。
追記:会社のスタッフ何人もが
さわや書店フェザン店を視察そして
文庫本や単行本を購入してきている。
それだけの目的で
盛岡へ日帰りしている。
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